2017SS Book 1~10

 2017年の1月から6月30日までのあいだに読了した本で、よかったものを適当に10冊程度を列挙する。


・言葉(J・P・サルトル
後宮小説酒見賢一
カンディードヴォルテール
・雲雀(佐藤亜紀
陽気な黙示録(同上)
三角みづ紀詩集(三角みづ紀
・詩論のバリエーション(荒川洋治
・詩とことば(同上)
・精霊の息吹く丘(M・バレス)
岸田将幸詩集(岸田将幸

 

 バランスよく小説、詩集がランクインした。でも心情的には随分とバランスを崩しながら本を読み進めていった気がする。日本文学を勉強のつもりで読み進めるのが苦痛になってしまい、そのまま小説自体が次第に嫌いになっていった。一応、好き嫌いにかかわらず、同時代のものに目を配っておく程度に神経を鋭利にしておくことはそれなりに価値のある営為だと思っているし、現代の小説家たちの名前を頻りに口上に乗せて読むように薦めてくれたひとたちには敬意を払っている。
 どこまでも個人的な問題に過ぎない。例えば一冊の本を読み終え、次に読もうとする本の頁を適当に繰り、何となく書かれた言葉に読む気が失せる、というのは。たぶん去年、『未明の闘争』を読んだあたりから、「文学」とひとが語るとき暗に詩歌を隅に押しやり、ないもののように振る舞うことで、みずからの足場を固めていられる饒舌に愛想を尽かしはじめたのではないだろうか。何、ジャンルが違う? どんな言い訳だよ。てなわけで反面、上に挙げた小説は正真正銘、面白いです。憎悪に至ってようやく知る愛みたいに。
 現代詩のほうでは、ここに挙げた以外にも総じて面白かった。詩を読む人々にとっては半ば伝説的に語られている安川奈緒『MELOPHOBIA』を国会図書館で読めたことだし、存命の詩人のなかでいちばん好きな川田絢音は新詩集を上梓していた。詩についても、いつか小説のように嫌気がさす瞬間がくるのだろうか。

 

 別に病身でもないのに時間がない、と焦燥に駆られることがある。読書は遅々として進まず、世界も言葉も、あまりにも知らない。で、とりあえずTwitterなんかやっている場合じゃないよな、というのがいつも導き出される結論。好きになれそうな本だけをなるべく選ぶことにするよ。

 

この夏は『失われた時を求めて』を出来るかぎり再読して過ごすつもり。

 ではまた。

 

 

三角みづ紀詩集 (現代詩文庫)

三角みづ紀詩集 (現代詩文庫)

 

 

 

雲雀

雲雀